プロゴルファー『合田 洋』公式ブログ
<< 侍プロゴルファー 〜 バックナンバー | main |
北海道 十勝清水


『あすなろファーミング』


その牛乳を一口、口に含んだ瞬間、思わずパッケージの成分表に眼をうつしてしまった。

きっと誰もが、同じ行為に及ぶのではなかろうか。

 それは、我々が子供のころから慣れ親しんできた“牛乳”とは、全く異質のものだったからである。

 

 健康志向に促されて、昨今ではオーガニックだの、無農薬、有機栽培といった、まぁ、身体に良さそうなフレコミを看板にしている食品が氾濫をしている。

決して悪い傾向ではない。それくらい世間には、怪しげな添加物にまみれた食品が多いのである。

正直この牛乳だって、そういった“健康志向の一種”くらいにしか考えてはいなかった。いわゆる「成分無調整」なのだろうし、酪農業者を指定してあったりする低温殺菌牛乳ってとこなのだろう。もちろん、そんなフレコミの牛乳は世間一般にそれこそ溢れていて、そこらへんのスーパーに行ったって、簡単に手に入れることが出来る。これまでもそんな風に、色々な牛乳を飲んだし味わってもきた。

そもそも、我々日本人も世界中の人々の例に洩れず、だいたいの人が幼いころから牛乳に親しんでいる。牛乳に及ばず、ヨーグルトだったりチーズやバターだったり、大袈裟に言えば乳製品の恩恵にあずからずして、日々を過ごしている人は皆無だろう。

それほど生活に密着した飲料や食品でもあるわけだから、当然の如く、その“味”も味わい尽くしていると思っていた。


 では、どんな牛乳が美味しいのか? 雑誌やネットで、搾りたて“らしい”牛乳を飲んだ人の記事を見ることもあるが、やはり「濃厚で美味しい」というコメントが多い。しかし、スーパーや有名デパートなどで売られている美味しい牛乳の代名詞・濃厚牛乳と銘打つ商品に、「成分無調整」の五文字が見つけられなかったりするのが少し不思議だ。

それはともあれ、使い古された言葉かもしれないが、やっぱり私には濃厚な牛乳が美味しいという認識が厳然としてあった。

 

しかしこの牛乳は、少なくとも「濃厚」ではなかった。表現すれば、口中に含んだ瞬間に「身体が欲しがる」牛乳だったのである。

 

 なんという口当たりか。私は思わず眼をつむり、口に含んだ牛乳を喉の奥へと流しこんだ。

澄んだ空気にサラサラと牧草が揺れている風景が、まぶたの裏を静かに通過していく。遠い昔、山の渓谷で見た、木漏れ陽から弾け飛んでいた光が、脳裏にコダマしたかのようでもあった

こんなに“爽やかな飲み物”があるのか? 口中には、ほのかに草の香りが残っている。

そして残りを一気に飲み干した。

すると、この牛乳たるや、呆れることに、たちまち身体にゆき渡ってしまったが如く、腹中に、その存在を示す重量感がない。

あの「牛乳を飲んだあとに特有」の、“お腹がやや重くなる感じ”がまるで無かったのである。

まさに、サラリといった口当たりと吸収感が印象的で、この味を単に「美味い!」と表現してしまうことが失礼にさえ思えたのである。

 

 

 そんな不思議な牛乳と出会ったあと、私は、北海道は帯広の地で開催される道東オープンに出場するため、北の大地へと降り立ったのだ。帯広から十勝清水は眼と鼻の先。十勝清水には、この牛乳の故郷、『あすなろファーミング』がある。

どんな日本人が、こんな牛乳を作ったのだろう? 気がつくと私の運転する車は、帯広の広大な畑を縫うようにして、一路、十勝清水を目指していた。




 
Posted by : 合田洋 | 記事 | 09:45 | - | - | - | - |
TOP